■大分農業文化公園・「パークアルカディア」

120haの用地に多様な家族向け設備で、滞在性・娯楽性を強化
「花昆虫館」では一般市民の参加・運営スキームを導入
課題は農業文化の浸透のための参加体験の拡大


 平成13年(2001)4月21日に86億円の事業費を投入してオープンした「大分農業文化公園」(大分県速見郡山香町大字日指1-1)は、敷地総面積約120ha(うちダム湖37ha)、東京ドームの約24個分にもなる、わが国でも最大規模の農業公園となった。開園に合わせて、大分空港及び大分自動車を結ぶ有料道路・別府宇佐道路に「大分農業文化公園I.C」が開設され、県内外の広域アクセスも可能になっている。

 危機的な地方財政のなか、この公園を建設した背景には、大分県では“例によって”平松守彦県知事の意向が強く反映されている。県政における「新農業プラン21」のなかで知事は、21世紀の農業・農村の時代に向けた政策として「特に都市と農村の交流、農業への理解が必要である」と力説していた。そんなとき、南フランス・モンペリエ市郊外にある「アグロポリス博物館」を訪れたことで意を強くし、同様の施設づくりが始まった。

 公園のコンセプトは、「出会いと収穫の体験フィールド」。豊かな自然と楽しみながら、農業・農村の文化を学習する場を提供することにより、その理解を深めると共に、新しい農業・農村の発信基地となる場所として位置づけられた。グランドデザインは、“発見”“参加”“癒し”をテーマとするゾーニングで構成される。
 事業体制だが、大分県が施設の建設を行い、県の外郭団体「社団法人大分県農業農村振興公社」へ管理運営を委託。実務は公社の内部組織「大分農業文化公園管理事務所」が担当している。
 平成14年(2002)4月18日付けの大分合同新聞によると、開園後およそ1年が過ぎた同年3月末までの入場者数は45万4,479人で、目標の40万人を上回っている。県農政企画課が行った来場者対象のアンケート調査では、約7割が「満足」「やや満足」と答え、「また来たい」も約7割となった。来場客には幼児・保育園児連れが多いのが特徴である。

 こうして、初年度(2001年度)の事業収入は3億7千万円の見込みで、人気と認知がこのまま高まっていけば、開園5年以降は入場者数が25万人で安定し、約2億4千万円の収入が確保できると県では試算している。
 農業公園が多数先行する九州において、事業面で順調な滑り出しとなった大分農業公園。それは、他にはない「大規模の」の強みなのか、それとも生活者の支持を集めるようなマーケット・インの施策による結果であろうか?

 「レジャーパークの最新動向」では:現地を取材し、人気の秘密を探ってみた。

※誌面の一部を紹介します



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